耳栓やデジタル耳栓は、周囲の音を小さくしたいときに使う道具です。
移動中、オフィスでの集中作業、自宅での作業時など、使う場面は意外と多くあります。
それぞれ、
- 「耳栓」は音全体を小さくするシンプルな道具、
- 「デジタル耳栓」は継続する環境音だけを減らす道具、
- 「イヤーマフ」はさらに強い遮音が必要なとき
の道具です。
この記事では、それぞれの特徴と選び方の基礎知識をまとめました。
耳栓・デジタル耳栓を使う場面と役割
耳栓やデジタル耳栓は、周囲の音を小さくして集中したいときや、静かな環境を作りたいときに使う道具です。
電車や飛行機での移動中、集中作業、生活音が気になるときなど、幅広い場面で使えます。
「音を完全に消す」のではなく、
- 「余計な音を減らす」
- 「必要な音は聞こえる状態を保つ」
という使い方が基本になります。
耳栓の主な種類と特徴
耳栓には素材や形状によって、いくつかのタイプがあります。
フォームタイプ
低反発ウレタンなどの柔らかい素材でできた、使い捨てまたは短期間使用のタイプです。
もっとも一般的で、価格も手頃です。
指で細く丸めてから耳に入れると、耳の中でゆっくり膨らんでフィットします。
遮音性能が高く、初めて使う人にも試しやすいタイプです。
ただし、使い捨てだったり、繰り返し使うと弾力が落ちてくるため、定期的な交換が必要です。
シリコンタイプ
柔らかいシリコン素材でできた、繰り返し使えるタイプです。
水洗いできるため衛生的で、長期間使えます。
耳の形に合わせて密閉するタイプと、耳の入り口を塞ぐ粘土状のタイプがあります。
サイズが合わないと隙間ができて遮音効果が下がるため、自分の耳に合うサイズを選ぶことが大切です。
フランジタイプ
傘のようなひだ(フランジ)が複数ついた形状のタイプです。
シリコンやゴム素材でできており、繰り返し使えます。
水洗いができ、携帯用ケース付きの製品も多いです。
音全体を均等に下げるタイプが多く、音楽を聴きながら音量を下げたい場合などに選ばれます。
デジタル耳栓の特徴
デジタル耳栓は、マイクで周囲の音を拾い、継続する環境音を打ち消す仕組みの道具です。
空調の音、電車の走行音、冷蔵庫のモーター音など、低周波で継続する音を減らします。
一方で、人の声やアナウンスなど、不規則な音は比較的通りやすい特性があります。
電池式またはUSB充電式で、定期的な充電や電池交換が必要です。
「完全な無音」を作るものではなく、「環境音だけを減らして、必要な音は聞こえる状態を保つ」道具です。
イヤーマフの特徴
イヤーマフは、耳全体を覆う構造の遮音保護具です。
工事現場や射撃場などで使われる防音用の道具ですが、日常のノイズ対策にも使えます。
耳栓よりも高い遮音性能を持ち、特に高音域の音を遮るのが得意です。
ヘッドホンのような見た目で、頭にバンドで固定します。
長時間使うと蒸れや側圧による疲れが出やすいため、短時間の使用や自宅での使用に向いています。
選び方のポイント
ここからは、耳栓やデジタル耳栓を選ぶときのポイントをまとめます。
遮音性能(NRR値)
耳栓の遮音性能は「NRR(ノイズリダクションレーティング)」という数値で表されます。
NRR値が高いほど、遮音効果が高くなります。
一般的な耳栓のNRR値は20〜33程度です。
数値が高いほど音が小さくなりますが、会話や呼びかけも聞こえにくくなります。
使う場面に合わせて、必要な遮音性能を選ぶのがポイントです。
フィット感と装着方法
耳栓は、耳の形に合っていないと隙間ができて効果が下がります。
フォームタイプは耳の中で膨らむため、多くの人にフィットしやすいです。
シリコンやフランジタイプは、サイズ展開がある製品を選び、自分の耳に合うサイズを試すと失敗しにくいです。
お試しセットで複数のサイズを試せる製品もあります。
繰り返し使えるか
使い捨てタイプ(フォームタイプ)は、衛生的で手軽ですが、頻繁に使うとコストがかかります。
繰り返し使えるタイプ(シリコン・フランジ)は、水洗いできるため長期間使えます。
使用頻度に合わせて選ぶと、コストと手間のバランスが取れます。
携帯性
移動中に使う場合、携帯ケース付きの製品や、コンパクトに収納できるタイプが便利です。
デジタル耳栓は、本体サイズと電池の持ち時間を確認しておくと安心です。
シーン別の選び方
ここまでの内容を踏まえて、代表的なシーンごとの選び方を整理します。
移動中(電車・飛行機・バス)
- フォームタイプまたはデジタル耳栓
- 携帯ケース付きが便利
- アナウンスに気づきたいならデジタル耳栓
長時間移動では、遮音性と快適さのバランスを重視すると使いやすくなります。
オフィス・在宅勤務
- デジタル耳栓、またはNRR値が中程度の耳栓
- 呼びかけに気づける程度の遮音
- 繰り返し使えるタイプ
呼びかけやチャイム音に気づける状態を保つことが大切です。
自宅での集中作業
- フォームタイプまたはイヤーマフ
- 高い遮音性能を選べる
- 長時間使う場合は、耳への圧迫感を確認
自宅では周囲への配慮が少なくて済むため、遮音性能を優先できます。
使うメリット
- 周囲の音を小さくして、作業に集中しやすくなる
- 移動中や外出先でも静かな環境を作れる
- コンパクトで持ち運びやすい
- 価格が手頃で、試しやすい
デメリット・注意点
- 会話や呼びかけが聞こえにくくなる
- 耳のサイズに合わないと効果が下がる
- 長時間使うと耳への圧迫感が出ることがある
- デジタル耳栓は充電や電池交換が必要
- 安全上の合図や緊急放送に気づけない可能性がある
職場で使う場合は、周囲に事前に伝えておくと誤解を防げます。
緊急時の対応方法を確認しておくことも大切です。
まとめ【用途に合わせて選ぶ】
耳栓・デジタル耳栓・イヤーマフ選びのポイントをまとめます。
- 耳栓:音全体を小さくしたいとき、価格が手頃で試しやすい
- デジタル耳栓:環境音を減らしつつ、会話は通したいとき
- イヤーマフ:さらに高い遮音性が必要なとき
選び方のポイントは次の4つです。
- 遮音性能(NRR値)
- フィット感(サイズ・素材)
- 繰り返し使えるか
- 携帯性
使う場面によって重視するポイントは変わります。
自分が「どのシーンで一番使いたいか」をイメージしながら選ぶことが重要です。
まずは手頃な価格の「お試しパック」やフォームタイプから試してみて、サイズ感や遮音の強さが自分に合うかを確認してから、本格的な製品を選ぶ方法もあります。
移動時や作業時に一つ持っておくと、周囲の音を減らして集中しやすくなる実用的なアイテムです。

