画像と音声を組み合わせるために、AI HATが気になった話

拡張基板を重ねた小型コンピューターとカメラ、マイク、スピーカーのイメージ図。「AI HATが気になった話」の文字。

Raspberry Pi 5で、画像と音声を組み合わせてAIを使いたい。

そんな用途を考えて、AI HATという拡張基板が気になりました。

例えば、カメラに映ったものについて声で質問し、AIから返事をもらう。文字だけの会話に、見ることや聞くことを加えるような使い方です。

ただ、調べてみると、AI HATにも種類がありました。買えば今あるAIが何でも速くなる、というものでもないようです。

まだ購入は決めていませんが、比べる途中で気になったことを書いておきます。

同じAI HATでも、できることが違う

今回比べたのは、Raspberry Pi公式のAI HAT+とAI HAT+ 2です。

製品搭載チップ主に気になった用途
AI HAT+ 13 TOPSHailo-8L物体検出などの画像処理
AI HAT+ 26 TOPSHailo-8大きめの画像処理モデルや複数モデルの実行
AI HAT+ 2Hailo-10H画像処理に加えて、対応する会話モデルや視覚言語モデル

旧AI HAT+は、専用チップで一般的な会話用LLMを動かす用途には公式対応していません。一方、AI HAT+ 2は、小型のLLMや、画像と言葉を扱うVLMに対応しています。Raspberry Pi公式:AI HATの違い

LLMは文章で質問したり答えたりするモデル、VLMは画像についても言葉でやり取りできるモデルです。

カメラに人が映っていることを検出する処理と、その画像について文章で答える処理では、必要なモデルも変わります。

「画像と音声を使いたい」というだけでは、まだ製品を絞りきれませんでした。

音声も、いくつかの処理に分かれる

音声でAIとやり取りするには、少なくとも、声を文字にする処理、内容に答える処理、返答を読み上げる処理があります。

カメラも加えるなら、画像を扱う処理も必要です。

調べたところ、音声を文字にするWhisper tiny/baseには、旧AI HAT+向けの公式サンプルもありました。旧型だから音声は一切扱えない、というわけではありません。Hailo公式:音声認識のサンプル

ただ、確認した公式サンプルでは英語が指定されており、日本語で使うための設定は別に確認する必要がありそうです。Hailo公式:音声認識の実装

音声認識が動くことと、画像を見ながら自然に会話できることは別です。

今回調べたのは、各モデルへの対応や実行方法までです。画像、音声、会話、読み上げを組み合わせたときの待ち時間や使い勝手は、実際に動かしてみないと分からないところが残りました。

一つずつはできそうに見えても、組み合わせるとどうなるのか。ここは、購入前にもう少し確かめたいところです。

好きなモデルを、そのまま動かせるわけではなかった

AI HAT+ 2には、Pi本体とは別に専用の8GBメモリがあります。ただ、専用メモリがあることと、好きなモデルを自由に使えることは別でした。Raspberry Pi公式:AI HAT+ 2

Hailoの完成済みモデル一覧には、小型のQwen会話モデルや、画像について答えるモデルなどが掲載されていました。購入を考えるなら、まずはこの中に自分の使いたいものがあるかを見たいところです。Hailo公式:対応モデル一覧

実行形式にも違いがあります。通常のOllamaなどで使うGGUFをそのまま渡す方式ではなく、Hailo用のHEFという形式を使います。また、Hailo-Ollamaでは、通常のOllamaと同じように好きなモデルを追加できるわけではありません。Hailo公式:実行環境とモデル形式

基板の性能だけを見て選ぶのではなく、使いたいモデルと、それを動かすためのソフトウェアまで一緒に考える必要がありそうです。

画像と音声を組み合わせたい、という目的は変わりませんが、そのために何を使うかで、また選択肢が増えてしまいました。

文章を出す速さだけでは、決めにくい

専用のAIチップを付けると、会話はどれぐらい速くなるのでしょうか。

メーカーの説明で強みとして挙げられているのは、画像や音声などの入力処理、返答が始まるまでの待ち時間の短さ、そしてPi本体のCPUをほかの処理へ回せることです。長い文章を生成する速度まで、必ず大きく上がるとは限りません。Raspberry Pi公式:AI HAT+ 2が得意な用途

また、性能の目安となるTOPSも、旧型と新型では計算に使う数値の精度が異なるため、数字の大小だけでは比べられません。公式の製品ページでは、AI HAT+ 2の画像処理性能を、AI HAT+の26 TOPS版と同等程度と説明しています。Raspberry Pi公式:AI HAT+ 2の仕様

今回の目的なら、文章だけを速く出すことよりも、画像や音声を処理している間に、Pi全体がどう動くかの方が気になります。

画像について答えてもらうなら、AI HAT+ 2が気になります。ただ、日本語で話しかけて返事を読み上げてもらうところまで考えると、対応するモデルやソフトウェアの組み合わせも考えたいところです。

まだ、どれを買うかは決めていません。自分がやりたいことに、どこまで必要なのか。調べているうちに、また迷ってしまいました。

※商品情報・対応モデル・ソフトウェアの仕様は、2026年10月31日に公式資料で確認しました。対応状況は更新される場合があります。